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今回のがん市民公開講座
 
 
第3回市民公開講座 「がんの予防と胃癌治療の最前線」
日  時: 平成17年2月26日(土) 13:00開演、17:00終了
会  場: 京都会館(第二ホール)
参加者: 400名
主  催: (財)佐川がん研究助成振興財団
後  援: 京都府、京都市、京都新聞社、KBS京都、(社)京都府医師会、(社)京都府看護協会
協  賛: 佐川急便(株)
   
 
     
  講座の概要  
     
 
  2月26日(土)京都会館において、(財)佐川がん研究助成振興財団による市民公開講座「がんの予防と胃がん治療の最前線」が開催され、最新の予防や診断、治療について各専門医による基調講演とパネルディスカッションが行われました。約400人の市民が参加した会場では、多くの質問が寄せられ、これをもとに行われたパネルディスカッションでは参加者たちの胃がんに対する不安や悩みに医師たちが答える形で、熱心な討論が繰り広げられました。  
     
 
■開会の挨拶

  本日はお忙しいなかをこの市民公開講座にご参加くださいまして有り難うございます。
この公開講座を開きましてから、早くも3年を過ぎ、一昨年の乳がんに始まり、昨年は前立腺がんで、今年は胃がんを取りあげました。早期胃がんでは、胃を切除せずに治療する内視鏡手術が急増していることが、日本経済新聞社と医療専門誌「日経メディカル」が共同で実施しました「がん治療の実力病院 全国調査」で裏付けられています。最近は内視鏡で粘膜をまとめてはがす新手法が一部で実施され、高い効果が期待される抗がん剤も登場。外科による胃切除が主流だった10年前に比べ、患者の選択肢が広がっています。胃がんは40歳を越すと、発症する確率が高くなるようで、症状がなくても定期的に検診を受けることをお勧めします。厚生労働省によりますと、老人保健法に基づく胃がん検診を受けているのは2002年度で437万人。受診率は13.0%と1995年度と比べ0.8ポイント低下していると言われています。また、昨年まではがんの早期発見やがんの治療を中心にお話をいただきましたが、今回は特にがんの予防、すなわち、がんにかからないための生活習慣等についてその方面の第一人者である北海道大学医学部名誉教授で財団法人札幌がんセミナー理事長の小林博先生に北海道からこの会のためにお越しいただき、がんの予防についてのお話を伺うことになりました。また、「胃癌の診断と内視鏡的治療」を国立がんセンター中央病院内視鏡部長の斉藤大三先生に、「胃癌手術で何が大切か?」をお膝元の京都府立医科大学附属病院長の山岸久一先生に、その後、パネルディスカッション「がんの予防と胃癌を考える」をお三方の先生と服飾評論家の市田ひろみ先生にお願いいたしました。また、この後、寒い時期でもあり、楽しい音楽でもお聴きいただいてはと考え、3歳から13歳までのお子様50人によりますバイオリン、チェロ、フルート演奏をお願いいたしました。
それでは、ご清聴をお願いいたします。
 
栗和田 榮一(くりわだ・えいいち)
佐川がん研究助成振興財団理事長
佐川急便株式会社代表取締役会長
     
 
■基調講演1
「がんの予防はどこまでできるのか?」~発生年齢遅らせる時代~


 胃がんの発生年齢(罹患年齢)は努力すれば5~10年は延ばせます。例えば50歳で胃がんになるところ、正しい生活習慣で55歳、60歳まで延ばせるのです。仮に胃がんが発生しても早期発見、早期治療すればよいのです。内視鏡治療などで開腹せずに治せますし、進行胃がんでも外科治療などで死亡率はかなり低下しています。つまり、日ごろの予防で胃がんに限らず、がん発生年齢を遅らせる時代なのです。
  がん予防は心筋梗塞、脳梗塞などの予防にもつながります。胃がんの原因はいろいろありますが、濃い塩分とピロリ菌感染が大きな原因。塩分薄味でも大量に摂れば高血圧が問題です。食塩を多く摂取する人はピロリ菌の感染も多いといわれます。
  また就寝前におなかいっぱい食べたり不摂生で胃に負担をかけると炎症をおこしやすく、白血球やリンパ球が集まって活性酸素を出し、それが細胞遺伝子を傷つけて胃の粘膜細胞ががんになり易くなります。慢性胃炎は胃がんの原因としても注意が必要です。
  予防にはくだもの、野菜を欠かさないこと。これは若いころから摂取することです。
  胃がんは早期発見、早期治療。そのために定期検診は大事です。また病院や医師選びも大切な治療の一つなので、日ごろから関心をもってお過ごしください。
 
小林博 氏(こばやし・ひろし)
北海道大学名誉教授、財団法人札幌がんセミナー理事長。専門領域は腫瘍病理学、腫瘍免疫学。平成2年に紫綬褒章を受賞。
     
 
■基調講演2
「胃がんの診断と内視鏡的治療」~早期は内視鏡的治療で~


 胃がんは「気持ちが悪い」など、症状が出てからでは遅いのです。以前は、胃がんは外科治療が中心でしたが、今日では極めて早期の胃がんには内視鏡的治療が低コスト、短期間入院、身体の軽負担として多く取り入れられています。
  胃がん検査にはバリウムを飲むエックス線検査と胃内視鏡検査(胃カメラ)があり、一長一短ですが、胃カメラは組織が採れるので、病理を顕微鏡検査できます。胃内視鏡も改良され、最新の電子スコープ(電子内視鏡)では、液晶モニターで複数医師での診断が可能です。血液検査での診断は不十分です。
  粘膜、粘膜下層にあるがんは早期がん、それより深く浸潤していると進行がんとなり、リンパ節転移をともなう場合は外科的治療ですが、転移がない場合は、開腹しない内視鏡的治療が可能です。おなかに小さな穴を開けて内視鏡を差し込む体腔鏡治療と、胃カメラ検査のような内視鏡治療の二種類があり、早期発見された転移のない胃がんに適用されます。内視鏡的治療は、医師の熟練を要し、出血やせん孔(穴があく)などの偶発症をともなうという欠点もありますが、その対策も技術的に確立されています。
  内視鏡的治療は侵襲が少ないというメリットがありますが、術後もハイリスクの胃袋が残っていることを認識し、定期検査はきちんと受診してください。
 
斉藤大三 氏(さいとう・だいぞう)
国立がんセンター中央病院・内視鏡部長。専門領域は消化管がんの内視鏡診断・治療及びがん予防。
     
 
■基調講演3
「胃がん手術で何が大切か?」~食事の仕方に注意して~


 胃がん手術では、多くの場合、リンパ節転移を防ぐために幽門輪を切除します。幽門は、食物がすぐに十二指腸へいかないように貯留される胃の出口にあります。
  幽門側胃切除とは、胃の下方にできる胃がんに対する手術法で一番多いケースです。胃の下方を切除し、残った胃と十二指腸を接合します。幽門輪を保存する幽門輪温存胃切除はリンパ節転移が予想される方には適応しません。また噴門という食道に近いほうにできた胃がん切除、さらに胃の全摘があります。
  手術操作には二つの大きな注意点があります。術中、血液中にがん細胞が散布させないことと、胃がん周囲のリンパ節の脂肪組織内にがん細胞を散布させないことです。
  手術後の注意点は食事の仕方です。幽門輪がないので、小腸から一気に糖分が吸収されて血糖が上がり、それに対応してインスリンが多く分泌するので一気に低血糖となり、その結果、冷や汗や脱力感というダンピング症状が出ます。一回の食事量を減らし、一日5~6回に食事回数を増やすことで十分な栄養もとれ、食事直後の血糖値が上がり過ぎることを防止することで食事後のダンピング症状を起させずにすみます。食事の分割と少量摂取、ゆっくりとよく噛み、炭水化物を摂取しすぎないことが重要です。切除したら生涯、胃は大きくならないので、この三つの項目を必ず守って過ごしてください。
 
山岸久一 氏(やまぎし・ひさかず) 
京都府立医科大学大学院教授(消化器腫瘍制御外科学)、同大学附属病院長。専門領域は消化器外科学、腫瘍免疫学、消化器免疫化学療法。
     
  ■パネルディスカッション
「がんの予防と胃がんを考える」


■パネリスト

小林博氏(北海道大学名誉教授・(財)札幌がんセミナー理事長)
斉藤大三氏(国立がんセンター中央病院・内視鏡部長)
市田ひろみ氏(服飾評論家)


■コーディネーター

山岸久一氏(京都府立医科大学附属病院長)

■司 会

植月百枝氏(フリーアナウンサー)
 
     
 
市 田


小 林


山 岸

斉 藤



山 岸

斉 藤

市 田


斉 藤


植 月

斉 藤

山 岸

斉 藤



山 岸

斉 藤




山 岸


斉 藤






山 岸

斉 藤


小 林


植 月

山 岸




植 月

山 岸



小 林


斉 藤



市 田

基調講演を聴いて、私は特に辛いもの好きで、中華料理でも一番辛い料理が好きなので、心配になりましたが。

香辛料の辛さと、塩味は違います。厳密な量にこだわらず、濃い塩分は控えてほしいということです。

年1回の検診で早期発見は可能か、内視鏡検査で感染症の心配はないですか。

1年に一度の内視鏡・エックス線は早期発見につながるが、検診を受けて問題なかったからと暴飲暴食をしたのでは意味がない。内視鏡検査での感染症については充分注意されていてほぼ大丈夫です。

胃カメラとバリウム、どちらが的確ですか。

両方の検査も一長一短があるので、隔年ごとに分けて受診されては。

一昨年に初めて人間ドックを受けましたが、胃カメラではなにを調べていただいているのでしょうか。

カメラが入る食道、胃、十二指腸までを、かいようやがんなどがあるかどうか、全ての病変をチェックしています。

最近、胃カメラも小型化しているそうですが。

今は9ミリが主流です。鼻から入れる6ミリもありますが、少々画質が落ちます。

胃のポリープ切除後はどうしたらいいか、ポリープはがん化しますか。

基本的には、胃のポリープはなにもしなくていい。大腸ポリープにくらべて、がん化はまれです。しかし胃のポリープは検査で大きさが変化して2センチ以上になると、がん化の可能性があります。

かいようはがん化するか、また十二指腸かいようは胃がんになりますか。

現在では、かいようからがんになるという考えは否定的です。ただ十二指腸かいようや胃かいようを何度もくり返している人の原因にはピロリ菌感染があり、がんになる可能性が高いと考えられています。なお、ピロリ菌を除菌したら胃かいようの再発率は十分の一に抑えられます。

ピロリ菌除去を一度したら再感染しないか、保険が適応されるか、高齢者も除菌すべきですか。

日本人は感染率が高く、50歳以上は60%ぐらい感染しています。「除菌して、また再感染」は、単に除菌が不十分だっただけのことが多い。きちんと除菌できたら1~2%しか再感染しません。保険が適応されるのは十二指腸かいようや胃かいようの場合だけです。ただ除菌療法とは薬を一週間飲むだけで、保険適応でなくても5~6千円です。私個人としてはたとえば60歳以上の高齢な方の除菌はあえて必要ないと思います。除菌するとお腹がすいてよく食べ、糖尿病などの生活習慣病を誘因するともいわれています。

抗がん剤で進行がんは治せますか。

進行した胃がんや大腸がんは、抗がん剤では完治させることはできません。胃がんを完治させ得るのは早期がんで、内視鏡的治療や外科治療のみです。

誤解のないように申し上げますと、抗がん剤は白血病とか悪性リンパ腫など子どもに多いがんなどにはかなりの効果があります。

胃がんで手術を受けた場合、再発や転移しやすい部位はどこですか。

胃がんで再発するのは、多くはがん性腹膜炎。お腹の中にがんが広がって再発するのが一番多い。その次に多いのは残ったリンパ節のところにリンパ節転移します。その他肝臓や肺などに血流を介して転移します。術後3年間は半年に1回はきちんとしたCTを含んだ全身検査をすべきです。術後4年5年目では年1回の検査でいいでしょう。

手術を受ける場合の先生や病院の選び方を教えてください。

最近は、病院でも情報公開として、手術件数や生存率などを出しています。しっかりとした考え方で治療し、手術的治療の必要でない場合はその旨を知らせてくれて、内視鏡的粘膜切除で良いなどと言ってくれる病院がいいですね。

がんになったら医師に任せる風潮から、医師と共に戦う関心の高まりをうれしく思いました。やはりがんに関心を持つ、詳しく知るなど意識が大切だと思います。

セカンドオピニオン、サードオピニオン、またインフォームドコンセントなど、医師にかかるのはものを買うのと同じ。十分、品定めしてください。とにかく、早期発見のためには定期検診を受けていただくことを切望します。

医学は日進月歩なので、自分の身体を大事に、少しでも早く病気を発見することですね。患者側から積極的にどんどん追求して聞く姿勢も大事だと思いました。
 
市田ひろみ 氏(いちだ・ひろみ)
服飾評論家、市田美容室代表取締役。日本和装師会会長、大谷大学講師、京都市おこしやす京都委員会委員長など多数の役職あり。
 
 
小林 博氏
 
 
山岸久一氏
 
 
斉藤大三氏
 
 
司会 植月百枝氏
  (平成17年4月17日:京都新聞掲載記事)  
     
  ■子どもたちによるバイオリン、チェロ、フルート特別演奏(才能教育研究会:鈴木メソード音楽教室)

講演会終了後、鈴木メソード音楽教室に通う3歳から13歳の50人の子供たちがバイオリンやチェロ、
フルートの演奏を行いました。
 

 

 
     
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